3.移動相の選択法
SUMICHIRALの固定相は、それぞれ、通常、下表に示す分離モードを使用します。
固定相 |
分離モード(移動相) |
OA-2000, OA-3000シリーズ |
逆相 (極性イオン相), 順相 |
OA-4000シリーズ |
順相 |
OA-5000, OA-6000シリーズ |
逆相 (銅イオン含有) |
OA-7000シリーズ |
逆相 |
0A-8000 |
逆相、順相 |
AGP, CBH, HSA |
逆相 |
注)順相条件、逆相条件
クロマトグラフィーでは、一般に固定相の極性が移動相の極性より強い場合を
正相条件、逆の場合を逆相条件と呼んでいます。順相条件下では、移動相の極性を
強くすると溶質の溶出時間が短くなります。また、溶質の極性が増すと溶出は
遅くなります。逆相条件下ではこの逆になります。
配位子交換型(OA-5000及びOA-6000シリーズ)及び低分子イオン結合型(OA-2000-I,
OA-2500-I)では移動相として使用できる溶媒に制約がありますが、その他のカラムでは、
通常HPLCに使用する溶媒はいずれも使用可能です。
以下に、各固定相における移動相の選択法を記します。
(1)OA-2000シリーズ、OA-3000シリーズ、OA-4000シリーズの移動相
(化学結合型固定相の場合)
順相系条件で使用する場合、通常ヘキサンを主体に、テトラヒドロフラン、2-プロ
パノール、エタノール、メタノール等の溶媒を適量混合して、極性を調節して使用
します。一般に移動相の極性を強くすると溶質の溶出時間が短くなります。酸性化合物、
塩基性化合物、フェノール類等極性の強い光学異性体を分離するとき、上記の移動相に
酸(酢酸、トリフルオロ酢酸等)または塩基(トリエチルアミン、n-プロピルアミン等)
を少量(0.1〜0.5%)添加することにより、ピークのテーリングが抑えられ良好な分離が
得られる場合があります。トリフルオロ酢酸の添加が最も効果的です。エステル等
極性の弱い光学異性体を分離するときには、通常ヘキサン等の非極性溶媒を主体と
する移動相を用いますが、少量のアルコール等極性溶媒の添加が分離に有効な場合が
あります。
逆相系(極性イオン相)で、カルボン酸類の光学異性体を分離する場合、通常、メタ
ノールに、少量の塩類(酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム)または有機酸を添加して
使用します。塩類の濃度によって保持を調整し、濃度を上げると保持が早くなります。
水の添加は避けてください。使用可能なpH 範囲は、2.5〜7.5です。
(2)OA-2000I、OA-2500I(イオン結合型固定相)の移動相
順相条件は使用できますが、逆相条件は使用できません。また、順相条件においても
強極性溶媒については、メタノールは10%以内、エタノールは20%以内、2-プロパノール
は40%以内の濃度でお使い下さい。酸、塩基の添加はできません。
(3)OA-5000シリーズ、OA-6000シリーズの移動相
硫酸銅、酢酸銅、塩化銅等の銅塩を含む水溶液を用います。溶質の溶出を早めるために
有機溶媒を加えることができますが、その濃度には上限があります。その上限を超えると
カラムがすぐに劣化しますので十分ご注意下さい。上限値は、メタノール、2-プロパ
ノール、アセトニトリルについては下表のようになります。
有機溶媒濃度の上限(%)
|
Methanol |
2-Propanol |
Acetonitrile |
OA-5000 |
30 |
15 |
15 |
OA-5500 |
― |
― |
15 |
OA-6000, OA-6100 |
10 |
― |
10 |
また、銅塩を含まない移動相は流さないようにして下さい。その他、取扱説明書に
記載されている注意事項を守ってご使用ください。
(4)OA-7000シリーズの移動相
一般的な移動相として、数mmol/L〜50mmol/L
のリン酸緩衝液とメタノールまたは
アセトニトリルの混液を使用します。これらは逆相HPLCにおいて汎用されている移動相
であり、調整が安易です。また、OA-7100とOA-7500でも、通常、リン酸緩衝液を使用
しますが、0.1〜1%程度のトリエチルアンモニウムアセテート緩衝液とメタノール
またはアセトニトリルの混液を使用すると分離が良い場合があります。
(5)OA-8000の移動相
逆相で使用する場合、過塩素酸水溶液とメタノールmたはアセトニトリルの今液を
使用します。過塩素酸の濃度によってpHを調整し、通常pH 1.5〜3.0の範囲で使用
します。pH が低いほど、保持が大きくなります。
順相で使用する場合、ヘキサンとエタノール(または2-プロパノール)の混液に、
トリフルオロ酢酸(0.1〜1.0%程度)を添加します。アルコール濃度によって、保持を
調整します。
(6)AGP、CBH、HSA(タンパク型)の移動相
@SUMICHIRAL AGP
濃度10〜100mmol/L、pH 3〜7
の範囲のリン酸緩衝液、酢酸緩衝液あるいは
クエン酸緩衝液を使用します。添加する有機溶媒としては、2-プロパノールが
最も一般的ですが、その他、メタノール、エタノール、アセトニトリル及びテトラ
ヒドロフラン等が使用できます。これらは通常、数%から 10%程度の濃度で添加
します。また、極性化合物の分析において、ピーク形状の改善や保持時間の制御の
アンモニウム塩を10mM程度の濃度で添加します。但し、これらの添加剤は固定相
との親和性が非常に強く、除去するのが困難な場合がありますので、一度添加した
場合、その条件専用で使用することをお薦めいたします。
ASUMICHIRAL
CBH
濃度10〜50mmol/L、pH 3〜7
の範囲の、リン酸緩衝液または酢酸緩衝液を
使用します。有機溶媒としては、2-プロパノールの他、メタノール、アセトニトリル
が使用でき、通常、数%から 10%程度の濃度で添加します。電解性の添加剤は使用
できませんが、性能低下の原因となる金属イオンの影響を低減させる目的で、移動
相中に、0.05mmol/L程度のEDTA-2Naを添加する場合があります。
BSUMICHIRAL
HSA
濃度10〜100mmol/L、pH5〜7
の範囲のリン酸緩衝液を使用します。有機溶媒と
しては、2-プロパノールの他、エタノール、アセトニトリルが使用でき、通常、
数%から10%程度の濃度で使用します。電解性の添加剤として、オクタン酸等の
有機酸を1〜5mmol/L の濃度範囲で添加することができます。
